メモリ速度とキャッシュを理解する

メモリの性能を語るときは、2つの数字を区別する必要があります。1つは一度にどれだけ多くのデータを動かせるかを表すスループットで、もう1つは必要なデータが届くまでどれだけ待つかを表すレイテンシ(遅延)です。大きなファイルや画像をまるごと扱う作業はスループットの影響を大きく受け、あちこちに散らばったデータをたどる作業はレイテンシの影響を大きく受けます。Web Benchは両方を測り、メモリがどんな性格で強いのか、あるいは弱いのかを示します。スループットはGB/s単位なので高いほど良く、遅延はns単位なので低いほど良い値です。この区別を理解すると、同じ容量のメモリでも体感が違うことがある理由を説明できます。メモリ項目の値が低かった場合は、ブラウザの他のタブや拡張機能がリソースを使っていないか、まず確認してみてください。

スループット項目は、16 MBの連続したメモリを順番に読み、書き、コピーします。クイック測定は読み取りとコピーを、標準測定は3つすべてを実行します。遅延項目は、次の位置が直前の読み取り結果に依存する依存ポインタ追跡でデータをたどり、アクセスする領域のサイズを16 KBから256 MBまで変えながら繰り返します。領域が小さければCPU内部の高速なキャッシュで処理されて遅延が短くなり、領域が大きくなってキャッシュを超えると、遅いメモリまでアクセスしに行く必要があるため遅延が増えます。サイズ別の結果を比べれば、キャッシュ階層の境目がどのあたりにあるかを推測できます。この値は、ハードウェアのスペック表にある容量や規格の代わりにはなりません。キャッシュとは、よく使うデータを近くに置いて待ち時間を減らす仕組みであり、作業サイズがキャッシュに収まるかどうかが速度を左右することが多いのです。

日常では、メモリ性能は、多くのタブを開いたブラウザ、大きな写真や動画の編集、ゲームのシーン切り替えなどで感じられます。ただし、メモリ容量が足りずにディスクへ退避する状況はこの測定に含まれず、実際の体感はCPUやストレージの影響も受けます。結果を安定して得るには、他のアプリを閉じて測定し、同じ条件で何度か繰り返してばらつきを確認してください。ノートPCでは、電源モードがメモリやCPUの動作に影響することがあるため、設定を控えておきましょう。数値が少し違うだけで優劣を決めつけるよりも、大きく差が開いた項目を中心に解釈するほうが合理的で、すべての値は環境によって変わる参考値です。最高速度を1回だけ記録するよりも、普段と同じ環境で測定した値を基準にすれば、あとで変化を比較しやすくなります。測定が終わったあと、一時的に確保したメモリはブラウザが整理するので、別途消す必要はありません。

測定開始 ↗